オルゴールの歴史
MUSICAL BOX HISTRY

オルゴールのルーツ①

中世から、ヨーロッパでは街の塔に取り付けられた組鐘「カリヨン」が人々に時を知らせていました。カリヨンは音程の違ういくつかのベルを使って簡単なメロディを奏でるもので、やがて大時計と組み合わされて定刻になると自動的に演奏するものが現れます。これがオルゴールのルーツとなりました。

Utrecht Clock Tower and its interior

オルゴールのルーツ②

After that, the mainspring was invented, and watches became smaller and more sophisticated. While indoor wall clocks, table clocks, and even pocket watches are becoming more popular, carillon are becoming smaller, but there are technical limits to making bells smaller, and there is no choice but to reduce the number of sounds that can be used. ..

Photo: Jan Jaap Haspels, Musical Automata: Catalog of automatic musical instruments in the National Museum 'From Musical Clock to Street Organ', Utrecht, 1994

オルゴールの誕生

懐中時計のような小さな空間により多くの音を鳴らすことが出来る仕掛けを組み込むために、スイスの時計職人A.ファーブルは、ベルの代わりに調律した金属片(櫛の歯)を用いることを思いつきました。この仕掛けは1796年に「ベルのないカリヨン」としてジュネーブ芸術協会に報告され、現在これが最初のオルゴールとされています。

19世紀初頭からオルゴールは様々な工芸品や調度品に組み込まれ、音のアクセサリーとして裕福な人々に愛されました。とくに円筒「シリンダー」に植えられたピンが櫛の歯を弾くタイプのものはシリンダー・オルゴールとよばれ、多くの技術者により改良が施され、音楽を鑑賞するための楽器として音楽表現を追求したものも現れました。

19世紀の中頃から末にかけて、スイスのジュラ州、サント・クロワ地方を中心にシリンダー・オルゴール産業が花開きます。芸術品ともいえるそれら精巧なオルゴールは、全て熟練した職人の手作業で製作されていました。

ピンが櫛の歯を弾く

シリンダー・オルゴール「マンドリン・エクスプレッシヴ」(19世紀後半/スイス製)

シリンダー・オルゴール「シアター・シリンダー・オルゴール」(1880年頃/スイス製)

オルゴールの発展

19世紀末になると、音楽の楽しみが庶民にまで広がると共に、新しいタイプのオルゴールがドイツで生まれます。1885年にP.ロッホマンが実用化したディスク・オルゴールは、曲をプログラムした金属の円盤(ディスク)を交換して好みの曲を演奏することが出来るもので、工場で量産されました。ディスクがぜんまいの力で回転すると、ディスクの裏側の突起がスターホイールと呼ばれている歯車を回転させ、その歯車が櫛の歯を弾いて豊かな音色を奏でます。 ディスク・オルゴールは欧米の人々の間に普及し、個人で楽しむタイプ以外に、コインを入れて音楽を楽しむものも数多くつくられ、駅の待合室や酒場、レストラン、ホテルのロビーなど人の集まる場所で活躍しました。

1900年前後に人気を博したディスク・オルゴールは、短期間に姿を消していきました。20世紀に入ると、エジソンが発明していた蓄音機が進歩し、音楽を楽しむ道具として広く使われるようになったことが要因です。第1次世界大戦がはじまる頃には多くのディスク・オルゴール・メーカーが倒産するか、あるいは 別の業種に移るかの選択を迫られることになりました。

 

ディスク・オルゴール「オーケストラル・レジーナ6型」(1900年頃/アメリカ製)

ディスク・オルゴールの演奏の仕組み

蓄音機とオルゴールの兼用機「レジーナフォン240型」(1910年頃/アメリカ製)

オルゴールの現在①

その後、オルゴールは音楽を楽しむ装置としての役割を他のメディアに譲ることになりますが、宝石箱などの小物の音のアクセサリーやコレクターズアイテムとして、シリンダー・オルゴールを中心に製造販売が続けられています。
現在は、工場での大量生産で作られるオルゴールがほとんどですが、六甲オルゴールミュージアムでは博物館の技術・研究により職人が製作する「神戸オルゴール」を製造・販売しています。

Museum Shop Toon

オルゴールの現在②

19世紀から20世紀初頭にかけて欧米を中心に製作されたオルゴールは、現在主流となった小さなシリンダー・オルゴールに比べると使える音数が多く、また演奏時間長いものが多くあり、音楽性が豊かです。その音色・演奏に魅了されたコレクターや博物館による歴史文化財保護により、100年以上前に製作されたオルゴールの音色を現在も楽しむことができます。
ディスク・オルゴールの場合、ディスクを交換すると様々な楽曲が演奏できます。現在は、アンティークのディスク・オルゴールの規格・サイズに合わせてディスクを製作する事でオルゴール本体が製作された頃に演奏できなかった現代曲なども楽しめます。
また、現在生産されているオルゴールは小型のシリンダー・オルゴールが中心ですが、リュージュ社やポーター社、日本電産サンキョー株式会社などの一部のメーカーにより、アンティーク・オルゴールに匹敵する本格的な音色が楽しめるオルゴールが現在も製作されています。
ROKKO森の音ミュージアムでは、アンティークから現代製のオルゴールでクラシックから現代曲まで幅広いジャンルの楽曲をコンサートで演奏しています。

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