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2022年02月01日 |お知らせ

【募集は終了しました】公募プランQ&A

六甲ミーツ・アート 芸術散歩では、公募プランを絶賛募集中!(~5/6、当日消印有効5/6に締め切りました。
新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響等により現地下見が困難な方へ向けて、応募に役立つ情報を一挙公開!

実践的な内容からディレクターが本展覧会にかける想いまで、応募にあたって1テーマずつ、総合ディレクター/キュレーターの高見澤清隆がじっくりお答えします。

末尾にはよくお問い合わせいただくご質問へのご回答も記載しております。

総合ディレクター/キュレーター 高見澤清隆


ひとつめは、採用された場合、非常に多様なお客様に作品を見て頂ける環境であるということ。
全国各地で芸術祭が開かれている現在、作品公募も盛んに行われています。それぞれに特色がありますが、本展覧会の特徴は「観光事業」として行われているところです。

会期中、美術ファンのみならず多くの観光やレジャー目的のお客様が六甲山にお越しになり、例年、累計で50万人前後の方が会場となるエリアを訪れます。海外からのお客様も多く六甲山上施設それぞれの集客もあって、展覧会期間中の六甲山は、地元市民、観光客の方々にとって様々な現代美術の表現との「思いがけない出会いの場」となっています。

有料会場の割合が高い展覧会ではありますが、六甲ミーツ・アート芸術散歩における作品展示は、お客様の多様性からストリートに展示することと近い状況であると言えます。そこにはアーティストにとっての新しい気付きや発見が生まれています。会期中、作品の側にいるとお客様の自由な“感想”を聴くことが出来るのも、私の密かな楽しみです。


ひとつ前の質問でも述べましたが、六甲ミーツ・アート芸術散歩の最大の特徴は展覧会が観光事業として行われているところです。

六甲山観光株式会社(阪神電気鉄道株式会社の子会社)が、社会貢献事業では無く、通常の企業活動の一環として行っている事業であるため、とても商業的な展覧会と言っても差し支えないと思います。
展覧会の目的は、現代アートを通じて六甲山の魅力を知っていただき、観光地として活性化することです。

六甲ミーツ・アート芸術散歩を始めたきっかけは、阪神淡路大震災後の復興に六甲山がなかなか追いつかず、震災前の賑わいが戻らなかったことにあります。展覧会を開催してからは、秋の六甲山にたくさんの方々が訪れ、活気を取り戻すことが出来ました。

六甲山はその山域の多くが国立公園に指定されています。六甲山の持つ自然の価値を壊すこと無く、神戸市、阪神間はもとより近畿圏にお住いの皆様に愛される観光地になって、広く国内外からのゲストを迎える場となることを目標にしています。

また、本展覧会は美術ファンだけでは無く、多くの行楽客、観光客のみなさまにも楽しんでいただく展覧会でもあります。それは単にエンターテインメントとして楽しむだけでは無く、現代アートの持つ力、多用な価値観と出会い、感じ、考えることを通じて好奇心の扉を開くお手伝いをすることでもあります。

現代アートの表現やコンセプトを謎解きのように楽しむ方から、秋の六甲山の山歩きを楽しむ方々まで、気軽に来場できて自然の中で六甲山を満喫し、アーティストの本気の作品群と出会って豊かな一日を過ごすこと、こうしたミッションをもつ展覧会です。


初めに、六甲山の歴史について簡単に触れたいと思います。

都市や港湾に隣接する六甲山は、東西に馬の背のように伸びる山塊です。
明治の初めから神戸の居留外国人達によって開発が始まった六甲山は、戦前、戦後を通じて富裕層の避暑地から市民の行楽地へと変化しながら、さまざまな文化を育んできました。幕末までに荒廃してしまった自然も外国人を初めとする多くの先人の努力によって回復します。昭和31年(1956年)には国立公園に指定されて、豊かな自然環境を有する都市近郊の山として現在に至っています。

六甲山に備わる様々な魅力の中で、第一に挙げられるのはやはり自然環境でしょう。素晴らしい眺望、四季折々の動植物の姿はかけがえのないものです。山の稜線近くに水脈が豊富なのも特徴です。
そしてその自然が厳しい一面を持つことも魅力として捉えることが出来ます。新緑を打つ雨、海からの強風、谷を駆け上る雲、濃いミルクのような霧、さまざまな色が溶け合う紅葉、冬の吹雪と、晴れた朝の樹氷などをご想像ください。

次に着目したいのが“西の軽井沢”とも呼ばれる、別荘やレジャーの文化です。
六甲山から南に見下ろす神戸、大阪間の町並みには明治以降にモダニズムの文化が独特に花開きました。この阪神間のモダニズムは、商都大阪の富と、港都神戸にもたらされた舶載の文化が出会って生まれたもので、六甲山の開発にも大きく影響を及ぼしました。別荘文化、ピクニックやゴルフ、スケート、スキーなどの欧米型レジャー、近代登山、キャンプやドライブなど、いずれも現在まで形を変えながら続いているものです。

六甲ミーツ・アート芸術散歩には定められたテーマはありませんが、こうした六甲山の持つ自然、歴史、文化をさまざまな形で取り込んだ作品を求めています。実際に下見にお越しいただくことが困難な状況ですので、可能であればWEB等でリサーチをしていただき、想像を膨らませて作品プランに反映させてください。私たちが気付かなかった六甲山の魅力が、みなさまの想像力の中にあるかも知れません。下見にお越しいただけない点は審査の際に勘案し、実現性確認のプロセスのなかでやり取りが出来ると考えます。


下見にお越しいただけないのは残念ですが、Q.3でも述べたようにWEB等でリサーチしていただき、想像力を膨らませてプランをお考えください。場所については「鬱蒼とした木々の間」、「池の水面」など展示を希望される属性をお知らせいただく形で問題ありません。
また、「現地の自然木を支持体にする」、「支持体は自分で構築する」、「穴を掘って基礎を埋める」などの技法をお知らせ頂ければ審査後にこちらから展示候補地を提案させて頂きます。

なお、これまでの審査で散見された場所の希望で「屋内」、「風雨を避けられる場所」などの指定を頂くことがありますが、この条件に限定したプランの場合、相対的に採用のハードルが高くなります。(場所が限られているため)
また、実際に審査の際に審査員が悩むのは展示場所が絞り込まれて限定されたプランが同じ場所に重なった場合、1プランしか選べないことです。
従って上記のように場所の属性でご応募いただく方が検討の余地が広がることになります。

最終的にはアーティストと私たちで協議をおこなって展示場所を確定させます。招待アーティストと場所の調整を行うケースもあります。場所は属性で示していただき、魅力的なプラン策定にご尽力ください。


80日間を超える山岳環境での展示で、会期末まで作品のコンディションを維持するために、プランには強度耐久性に対する考察が不可欠です。作品の素材、構造、大きさ、展示環境によって、留意点は非常に多岐に亘るため、一律に基準をお示しすることは出来ません。

ただし、定性的な一般論として
①鑑賞者の安全
②会期末までの作品の成立
③設営撤収に際してのアーティストとその関係者の安全
以上が担保されることが求められます。

また、強度耐久性に対する考察には様々なアプローチがあります。
同様の技法、素材で作品制作を行った経験をお持ちの方は、その経験値から強度耐久性に対する予見を導き出すことが出来ます。

ご自身の作品プラン内容の強度耐久性に関する弱点、課題点を把握することに関心をお持ちいただく。

例:「立体作品の基礎について不明点があるため今後知識を得たい」という記述をプランに記載していただくと、審査員は応募者の問題意識を知ることが出来ます。作品強度に対する知識をもった専門家、アーティストに助言を求めるなど、協力体制を作る。これも審査員が応募者の問題意識を知ることにつながります。

作品の維持管理の仕組みを考えておくこと。
メンテナンス計画や、破損に備えたバックアップ、台風対策をあらかじめプランに織り込んでおくことも歓迎します。

なお、一次審査の際には、作品の強度耐久性は必ず話題になります。ただし、強度耐久性が万全で無ければ採用に至らないという事ではありません。一次審査には実現性の確認というプロセスがあり、ここで強度耐久性についての確認を行い、課題点をクリア出来る見込みが立てば採用します。

また、キュレーションチームには六甲山での作品設営、管理に精通したテクニカルディレクター、チームメンバーがいます。強度耐久性の課題に一緒に取り組むことによって共にスキルをあげて行くことが出来ると考えます。強度耐久性に意識を向けながら、チャレンジングな作品、独創的な作品のプランをお寄せください。


毎年たくさんのご応募をいただきとても感謝しています。応募者はアートシーンの一線で活躍中のアーティストから、定年後にキャリアをスタートさせたアーティスト、大学生、主婦、小学生まで応募者は非常に多岐にわたります。

作品プランも現代アートとしてコンセプチュアルなものから、造形の王道を行く彫刻作品、絵画、デジタルアート、サウンドアート、インスタレーション、パフォーマンス、技術を訴求するもの、アイデアを訴求するもの、軽妙洒脱な風刺まで、こちらも非常に多岐にわたります。そのなかでも毎年の応募作品に傾向の変化が見られるのは興味深いことです。ある年は「鏡」を使ったプランが多く見られたり、またある年には「映像作品」が多かったり、少なかったりします。

さて、今回の質問への回答ですが、「ずばり!一次選考で選ばれる作品は審査員にも予測がつかない」と言うことです。

なぜでしょうか。それは現代美術の魅力のひとつが新しい価値観の提示、既存の価値の再解釈、埋もれた価値の発見にあるからかも知れません。

また、グループ展である六甲ミーツ・アート芸術散歩は、展示作品相互の関係性、影響を考慮するため、作品個々の魅力と共に展覧会全体の魅力作りを考えることが不可欠です。応募作品全体の傾向と相対的な関係、そして作品個々の魅力によって採否が決まってきます。非常に魅力的なプランながら類似する表現のプランが複数ある場合も、残念ながらそのなかからは1点のみしか採用できません。一次審査に加わる審査員のひとりとしては毎年巡り合わせの不思議を感じます。

そうした状況ですが、作品プラン応募のコツはあります。

第一は、非常に基本的な事柄ですが、「公募要項をしっかりお読みいただく」ことです。直接作品を持ち込まれる方や、レギュレーションに反する資料を添付された方は、プランが魅力的であっても審査対象にはなりません。

第二は、作品のイメージが具体的に判る応募書類を作っていただくことです。長い文章でご自身の思いやコンセプトを語っておられる一方で、作品が具体的にどのようなものかが不明瞭な書類では、そうでないものに比べて不利になります。

第三は、作品プラン実現に向かう熱量です。ご自身の想いを端的に述べられ、作品が具体的であり、様々な課題を認識してクリアする意欲が感じられると、ぜひ実現していただきたいという気持ちになります。たとえば「作品の強度確認の為に屋外で風雨にさらして変化を検証した」という行為も意欲の表れと受け取ります。

第四は私独自の考え方かも知れませんが、今回の応募に採用されるために考えたプランよりも、日々の表現活動の延長にあるプランに惹かれます。これまでの出展作品を調べてこのような作品なら採用されるだろうという傾向と対策から生まれたプランは、そつがないですが、本質的な魅力が乏しくなるようです。

最後に、採用に至らなかったプランの中にも優れたプランが数多くあります。採否が作品プランの価値に直結するものでないことを付け加えさせてください。


六甲ミーツ・アート芸術散歩は、観光事業者が行なっている現代アートの展覧会です。観光という言葉をWEBで調べると「《名・ス他》他国・他郷の風光・景色を見物すること。」とありました。私も旅が大好きですが、そこで求めるものは文化や人々との新しい出会いです。そして新しい自分との出会いでもあります。私にとって現代アート作品を鑑賞することは旅に出かけることと同じ意味を持っています。

六甲ミーツ・アート芸術散歩の「ミーツ」にはこの出会いに対する思いが込められています。展覧会が観光客、アートファン、アーティスト、スタッフにとって新しい人々や価値観との出合いの場になることを願っているのと同時に、それを通して未知の自分の発見や異質なものをどのように理解するのかを考える契機になることを願っています。

そして、六甲ミーツ・アート芸術散歩にとって第一の出会いの場が公募です。人の移動が困難で社会活動の形を制限せざるを得ない中で、公募を通じた多様な価値感との出会いはとても貴重なものです。その意味で本年は公募からどのような状況が生まれるのか、生み出すことができるのか、考察を重ねています。

これまでも応募されるアーティスト諸氏の斬新で意欲的な表現が、六甲ミーツ・アート芸術散歩を盛りあげてきました。アーティストからは公募を通じて発表した作品を契機に活動のフィールドが広がったという嬉しい声も聞かれます。本年も多様な表現が展覧会を通じて多くの人々に届くことを期して、作品プランの到着をお待ちしています。


お問い合わせメールに寄せられるご質問の中でよく見られる疑問にまとめてお答えします。

Q1_展示現場の山の素材、例えば山に生えている草や樹木を採取、切断等したりして作品の素材として使用することは可能でしょうか?不可能な場合、生えている草ではなく、落ち葉や枯れ草などを利用することは可能でしょうか?
A1_ 過去にも六甲山の植物を使用した作品がありますが、植物の採取、作品への使用をお約束できるものではなく、あくまでもケースバイケースです。
ご応募の段階では、どういう植物を採取されたいかご希望をお知らせください。

Q2_映像作品の応募を検討しています。比較的密閉感があり、暗くしやすい空間はありますか?
A2_六甲ミーツ・アート芸術散歩は屋外が主体の展覧会のため屋内空間は限られており、ブラックキューブになり得る場所が非常に少ないために、こうした場所をご希望される作品については採用数を絞らざるを得ない状況です。かつては屋外にアーティスト自ら構造体をつくって空間を確保した例などもありました。

Q3_大きなものを制作する場合など、制作期間はどれくらいですか?
A3_例年、9月頭に一週間程の集中製作期間が設けられていますが、作品により長期の制作期間や滞在制作が必要という場合もあるかと思います。その際は展示会場となる施設と要相談になりますが、問題がなければ早期からの制作も可能です。例年、8月から制作を始められるアーティストもいらっしゃいます。
制作の際は弊社の山荘をご利用いただいており、こちらは原則集中制作期間でのご宿泊となっておりますが、こちらもプランによってはご相談可能です。

Q4_設営するにあたって、基礎を立てるなどの知識が乏しいのですが…
Q4_プランを審査の後、内定の段階で実現性の確認を行います。その際にどのように基礎をつくればいいか、どのような支持体を使う必要があるかなど、相談に乗りご提案もいたします。基本的に制作はアーティスト自身で設営していただきフォロースタッフもご自身でお連れいただくということにはなりますが、運営側が必要と判断した場合にはテクニカルスタッフがお手伝いもさせていただきます。

Q5_室内で展示可能な施設はありますか?
A5_ありますが、非常に数が限られています。(現段階ではショップ「ホルティ」内、自然体感展望台 六甲枝垂れ、見晴らしの塔(いずれも六甲ガーデンテラスエリア内)が展示可能)
基本的に屋外中心の展覧会とお考え下さい。

Q6_既存の建物の雰囲気を壊すような作品展示は可能ですか?
A6_プランによります。例えば六甲ガーデンテラスエリアは普段ヨーロッパ調の雰囲気ですが、六甲ミーツ・アート会期中は見晴らしの塔にプロジェクションマッピングを施したり、ユニークな彫刻作品を展示したりしています。

Q7_来場者参加型の作品の場合、監視スタッフや受付スタッフをつけてもらうことは可能ですか?
A7_常時監視はつけることができません。例えば、日にちを限定して開催するなど工夫が必要です。

Q8_電源を借りることはできますか?
A8_お使いいただけます。コード類は、アーティスト側でご用意ください。なお、施設に影響を及ぼすほどの大容量で使用される場合は、別途相談が必要です。

Q9_過去の作品で見たのですが、坂になっている芝生は利用できますか?
A9_芝生のエリアは六甲カンツリーハウスという施設内にあり以前は展示会場として使用しておりましたが、2021年より「六甲山アスレチックパーク GREENIA」というアスレチック施設にリニューアルしており、GREENIAは展示会場として使用しないため2022年度はご利用いただけません。

Q10_山で作品を点在させるプランで応募したいのですが可能でしょうか?
A10_安全性の確保や国立公園として法律の制約などがあり難しい場所もございますが、プランとしてご応募いただくことは可能です。

Q11_NGな事、場所はありますか?
A11_原則として展示場所の原状復帰はお願いしています。また、観光事業としての展覧会ですので安全性や耐久性の確保も必須ですが、自由なアイデアや発想でご応募ください。
また場所について、法令的にNGな場所(消防の防火扉の前や公道上)、安全に関わる場所(リフトの軌道上やバスの運転室)などには展示出来ません。また、既存施設の営業、運営が妨げられる場所にも展示出来ません。

Q12_何通まで応募できますか?
A12_何通でもご応募いただけますので、いろいろなパターンのプランをお持ちの方は是非お送りいただければと思います。

Q13_各施設の特性はありますか?
A13_各施設はそれぞれ特性と個性があります。すべてをお答えすることは出来かねますので、WEBなどを参考にリサーチをお願いします。参考までに主な会場の特徴は以下の通りです。

ROKKO森の音ミュージアム、六甲高山植物園:ご興味を持って入場料をお支払いいただいて来場される方の多い施設で、山上では比較的静かなエリアです。風雨も街中よりは強いですが、山上にしては穏やかな場所が多いのもポイントです。両施設とも、室内は使用できません(招待アーティスト出展の為)。

三松拓真《Get wild!!》2021年 ROKKO森の音ミュージアム

 

過去の展示風景 史枝「連なる思い」2020年 六甲高山植物園

六甲ガーデンテラス:眺望やお土産、飲食店舗があるエリア。観光や立寄りのお客様が多数いらっしゃるため、ストリート的な要素が多いエリアです。強風や霧など天候や気温の変化も激しい場所です。

六甲ガーデンテラス

天覧台:六甲ケーブル山上駅横に位置し、神戸の町を一望できる眺めの良い広場。ケーブル利用者やドライブ、ハイカーが多く立ち寄る場所です。

天覧台からの眺め

Q14_パフォーマンスでの出展は可能でしょうか?
A14_過去には身体表現やミュージシャンなどといった方々も出展しています。日程を定めてパフォーマンスをしていただくということも可能です。

 

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