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2019年02月15日 |お知らせ

六甲ミーツ・アート 芸術散歩2019/第10回記念展開催に際して 総合ディレクターより

六甲ミーツ・アート 芸術散歩2019/第10回記念展開催に際して

明治時代から居留外国人の手によって開発が始まった六甲山は、その後阪神間モダニズムの影響を色濃く受けながら都市近郊の自然豊かな避暑地として発展してきました。近代登山やゴルフなどのスポーツや、キャンプやハイキング、ドライブなどレジャーの好適地として賑わい、水害や戦渦などを乗り越えて多くの市民に愛されています。国立公園に指定されたのも景観や環境が保全されるうえで意義深いことでした。

昭和初期から六甲山で観光事業を展開していた阪神電鉄はその子会社である六甲摩耶鉄道(現、六甲山観光株式会社)と共に六甲山の開発を担ってきましたが、バブル経済の崩壊や阪神淡路大震災によって六甲山はかつての賑わいを失いつつありました。そこで、六甲山のさまざまな魅力を再び多くの方々に知っていただき、観光を活性化、自然環境との親和性を保ちながら地域を発展させる施策のひとつとして現代アートの展覧会が企画されました。

現代アートは難解だと言われることがあります。それは既にある物差しで測れない新しい方法や表現に取り組んでいるからなのかも知れません。アーティストひとりひとりの挑戦や試行錯誤は、わたしたちに新しい価値観との出逢いをもたらしてくれます。それは外国の新しい考え方や文物を積極的に取り入れた神戸・阪神間の市民が求めた精神のあり方に通じるものがあります。そうした出逢いから六甲山上の観光やレジャーの場を舞台に新しい文化の流れが生まれることを、六甲ミーツ・アート芸術散歩は目指してきました。そしてそれを主催会社の民間ベースで継続している点も大きな特徴と言えます。トライアル・アンド・エラーを繰り返しながら、この試みは10年目を迎えました。

六甲ミーツ・アート 芸術散歩は、その構想段階から財団法人彫刻の森美術館(現、公益財団法人 彫刻の森芸術文化財団)に多大なご支援をいただきました。さまざまな分野の専門家、有識者、団体、県や市など行政の方々、多くのスタッフやインターン、そして何よりも延320組を超えるアーティスト各位の協力がなければ、毎年回を重ねることは出来ませんでした。改めて心より厚く謝意を表します。

2010年からこれまで、芸術祭を取り巻く環境は大きく変化して来ました。2011年に東北地方で起きた未曾有の大災害は、多くのアーティストの思考や表現にも大きな影響をもたらしました。日本国内で相次いで開催される芸術祭は、コミュニティーに密着した手作りの芸術祭から大型の国際展まで、地域活性化のモデルとして認知されると共に、さまざまな課題を浮き彫りにもしています。また、テクノロジーの発展はアートの世界にもこれまで以上の表現の多様性を生み、私たちはこれまで体験したことのない世界観に触れることが出来るようになりました。アートを取り巻く領域が拡張され、身体表現や音楽はもとより食やデザイン、建築、サブカルチャーから骨董や民芸まで、広範により密接な関係が生まれています。

こうした経緯と状況を背景に、六甲ミーツ・アート 芸術散歩2019/第10回記念展は次のようにコンセプトを定めました。

 

「現代アートを通して六甲山をさまざまな出会いの場とすること」

 

これには、アート作品と鑑賞者、アーティストと来場者、さまざまな目的で六甲山を訪れる来山者相互、新しい表現やテクノロジー、異なる価値観との出会いによって新しい発見や感動が得られる場を生み出したいという願いが込められています。

近年、海外からの旅行者が増加し、異文化とふれあう機会が増えています。社会の構造の変化と共に文化構造も今後変化していくことでしょう。現代アートによって表現されるさまざまな価値観は、わたしたちに多様性の豊かな広がりを示してくれます。六甲山の景観や自然、文化を舞台に、レジャーや観光のひとつのあり方として、わたしたちは六甲ミーツ・アート 芸術散歩の可能性を追求して行きます。

 

六甲ミーツ・アート 芸術散歩2019
総合ディレクター 高見澤清隆

撮影 島田洋平 Photo by Yohei Shimada

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